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◎ 作品の背景 ◎
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衰えゆく地方から | ||||||||||
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総務省によれば平成27年に1億2千7百万人だった日本の人口は今世紀の半ばには、25%近く減少し、高齢者(65歳以上)の割合は、39%近くになるという。 地方の人口流出も止まらない。少子高齢化の波が地方を直撃している。本作の舞台となる市川大門は、2005年に隣接するふたつの町と合併し、山梨県市川三郷町となった。平安後期から「手すき和紙」が地場産業として定着し、今も、「市川和紙」として日本の障子紙の4割を生産している。 また、本作にも登場する「神明の花火大会」は、武田信玄の時代の狼煙が起源とされ、江戸時代からは日本三大花火に数えられたという。
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この歴史ある町からも、若者たちは都会へと流出し続けている。本作の青柳拓もそのひとり。日本映画大学への進学を期に市川大門を離れた。
シャッター街となった故郷に若者たちの居場所はない。閉鎖された大型店舗の駐車場は、高齢者たちの溜まり場になっている。そんな街をヘルメット姿で歩き回る“不思議なおじさん”のことが青柳には気がかりだった。
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根づいた「ノーマライゼーション」 | ||||||||||
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青柳の父が働く障がい者の自立施設「地域活動支援センター」に通う渡井秀彦さんを街の人々は「ひいくん」と愛称して暖かく見守り、仕事の手伝いを託す。その表情に屈託はない。この街に生きる人として受け入れ、差別も偏見もない。厚労省が提唱し、バリアフリーや障がい者の自立や社会参加を促す「ノーマライゼーション」の理念が、この地に根付いていたのである。青柳は、コミュニティーにしっかりと根付いている「ひいくん」を主人公として、衰えつつある故郷・市川大門の変化と現実を描くことを決意する。
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青柳の叔父、電気店を営んでいた青柳正輝さんは、脳出血を患い認知症も併発しリハビリに励んでいるが、かつてこの街を趣味の写真で記録し続けていた。正輝さんの写真は、市川大門の変化を記録していた。その写真の一葉に、節分で鬼の面を被った「ひいくん」と幼い頃の青柳拓が写されていた。都会で暮らすことを決意していたはずの青柳が本作の制作過程で故郷に惹かれてゆく。
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弱冠23歳の新鋭青柳拓のデビュー作。 |
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◎ 物語 ◎
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◎ 監督コメント ◎
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「地元で映画、撮りたいなあ」
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なんとなく考えながら町を歩いていました。
大学でドキュメンタリー映画を制作するため、企画を考えていた時、僕は地元・市川大門にいました。明確な理由はなく、ただカメラを持って誰もいない商店街を歩いていました。
すると、いつものように「ひいくん」が歩いていました。幼い頃からなんとなく気になっていた人、友達と話してもみんな彼を知っています。
「町長さんよりも有名人」と言われるほどの彼でしたが、彼が普段何をしている人なのか知っている人はほとんどいなかったのです。
誰もいない商店街を、楽しそうに歩いている彼を見て疑問に思いました。
「なんでこの人はいつも楽しそうに、歩き続けているのだろう?」
その理由が気になって気になって、仕方がありませんでした。
ひいくんを追いかけて、町の今と昔を見つめ、彼の歩いた先々で出会う「人」との交流の中には、教科書には載っていない故郷のもう一つの歴史がありました。それは映画でしか表現できなかったものだと思うのです。 監督・青柳拓 |
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◎ スタッフ ◎
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監督:青柳拓 プロデューサー・録音:植田朱里 副プロデューサー:熊澤海透 撮影:山野目光政 録音:福田陽 編集:朝野未沙稀 題字:渡井秀彦(ひいくん) アドバイザー:安岡卓治、島田隆一、山内大堂、辻井潔 ウェブデザイン:VICENTE 製作:日本映画大学 配給:©水口屋フィルム 宣伝:細谷 |
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劇場名 | 公開日 | 地域 | TEL | サイト |
ポレポレ東中野 | 9月2日(土)~ | 中野区 | 03-3371-0088 | ![]() |
名古屋シネマテーク | 9月30日(土) ~ 10月6日(金) | 愛知県名古屋市 | 052-733-3959 | ![]() |
上田映劇 | 12月2日(土)~12月8日(金) | 長野県上田市 | 0268-22-0269 | ![]() |
シアターセブン | 11月11日(土)~ | 大阪府大阪市 | 06-4862-7733 | ![]() |
松本シネマセレクト | 2018年1月7日(日)~ | 長野県松本市 | 0263-98-4928 | ![]() |
横川シネマ | 12月16日(土)~12月31日(日) | 広島県広島市 | 082-231-1001 | ![]() |
横浜シネマリン | 2018年3月17日(土)~3月30日(金) | 神奈川県横浜市 | 045-341-3180 | ![]() |
出町座 | 近日公開 | 京都府 | 075-203-9862 | ![]() |
【お問合せ】 配給 水口屋フィルム(担当:青柳) 〒409-3601 山梨県西八代郡市川三郷町市川大門3657-8 1-301 MAIL:oyogisyrup@gmail.com |
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